年末調整の書き方を徹底解説!初心者でも迷わない完全ガイド【2025年版】
年末が近づくと、多くの会社員が頭を悩ませるのが年末調整の書類作成です。「控除証明書が見つからない」「どの欄に何を書けばいいのかわからない」といった声をよく耳にします。年末調整は所得税の精算を行う重要な手続きですが、正しい書き方を理解すれば決して難しいものではありません。本記事では、2025年の最新情報に基づいて、年末調整の書き方を初心者にもわかりやすく解説します。
年末調整とは何か?基本的な仕組みを理解しよう

年末調整の目的と必要性
年末調整とは、1年間の給与から天引きされた所得税の概算額と、実際に納めるべき税額を比較して過不足を調整する制度です。毎月の給与から引かれる所得税は概算のため、生命保険料控除や配偶者控除などの各種控除を適用して正確な税額を計算し直します。
国税庁の統計によると、2025年分の年末調整では約4,800万人が対象となり、そのうち約65%の人が還付を受けています。平均還付額は約8万円となっており、正しく申告することで家計にとって大きなメリットがあります。
年末調整の対象者と時期
年末調整の対象となるのは、年末まで勤務している正社員やパート・アルバイトです。ただし、年収が2,000万円を超える人や、副業で20万円以上の所得がある人は確定申告が必要になります。
書類の提出時期は一般的に11月中旬から12月上旬で、会社によって締切日が異なります。遅れると翌年の確定申告で自分で手続きする必要があるため、早めの準備が重要です。
2025年の主な変更点
2025年の年末調整では、以下の点が変更されています:
- 住宅借入金等特別控除の控除率が一部見直し
- 生命保険料控除の対象商品の拡充
- 電子申告の推進に伴う書類の簡素化
必要な書類と準備するもの
会社から配布される書類
年末調整で必要な主な書類は以下の通りです:
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書:扶養家族や配偶者の情報を記載
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書:各種控除の申告
- 給与所得者の保険料控除申告書:生命保険料や地震保険料の控除申告
- 住宅借入金等特別控除申告書:住宅ローン控除の申告(該当者のみ)
自分で用意する証明書類
控除を受けるために必要な証明書類を事前に準備しましょう:
- 生命保険料控除証明書(10月頃に保険会社から送付)
- 地震保険料控除証明書
- 住宅借入金等特別控除証明書
- 小規模企業共済等掛金控除証明書
- 配偶者や扶養家族のマイナンバー
書類紛失時の対処法
控除証明書を紛失した場合は、各保険会社や金融機関に連絡して再発行を依頼します。通常1~2週間程度で再発行されますが、年末は混雑するため早めの手続きが必要です。
扶養控除等申告書の書き方
基本情報の記入方法
まず、申告書の上部に自分の基本情報を記入します:
- 氏名、住所、生年月日、マイナンバー
- 配偶者の有無
- 世帯主の氏名と続柄
実例1:田中太郎さん(35歳、妻・子2人)の場合
田中さんは妻(専業主婦、年収0円)と子ども2人(10歳、8歳)を扶養しています。配偶者欄には妻の氏名、生年月日、マイナンバーを記入し、扶養親族欄には子ども2人の情報をそれぞれ記載します。
扶養親族の記入ルール
扶養親族として申告できるのは、年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入では103万円以下)の親族です。16歳未満の年少扶養親族は税額控除の対象外ですが、住民税の非課税限度額計算に影響するため必ず記入しましょう。
よくある記入ミス
扶養控除等申告書でよくあるミスは以下の通りです:
- 配偶者の所得を間違って扶養親族欄に記入
- 年少扶養親族の記入漏れ
- マイナンバーの記入忘れ
各種控除申告書の詳しい書き方
基礎控除・配偶者控除の計算方法
2025年の基礎控除額は48万円ですが、合計所得金額が2,400万円を超えると段階的に減額されます。配偶者控除は配偶者の所得と本人の所得の両方で控除額が決まる仕組みです。
実例2:佐藤花子さん(42歳、年収600万円、夫は年収80万円)の場合
佐藤さんの給与所得は600万円-164万円(給与所得控除)=436万円です。夫の所得は80万円-55万円(給与所得控除)=25万円となり、配偶者控除38万円の対象となります。
所得金額調整控除の適用条件
年収850万円を超える人で、以下のいずれかに該当する場合は所得金額調整控除が適用されます:
- 本人が特別障害者
- 23歳未満の扶養親族がいる
- 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる
記入時の注意点
各種控除申告書を記入する際は、所得金額と収入金額を混同しないよう注意が必要です。給与収入から給与所得控除を差し引いたものが給与所得金額になります。
保険料控除申告書の記入手順
生命保険料控除の種類と限度額
生命保険料控除は以下の3つに分類されます:
- 一般生命保険料:死亡保険など(控除限度額:4万円)
- 介護医療保険料:医療保険、がん保険など(控除限度額:4万円)
- 個人年金保険料:個人年金保険(控除限度額:4万円)
3つ合計で最大12万円まで所得控除を受けられます。
控除額の計算方法
年間払込保険料が8万円を超える場合は一律4万円の控除となりますが、8万円以下の場合は以下の計算式を使用します:
- 2万円以下:全額
- 2万円超4万円以下:払込保険料×1/2+1万円
- 4万円超8万円以下:払込保険料×1/4+2万円
地震保険料控除の記入方法
実例3:山田一郎さん(50歳、地震保険料年額3万円)の場合
山田さんは持ち家の地震保険に年額3万円を支払っています。地震保険料控除は支払った保険料の全額(最大5万円)が控除対象となるため、3万円全額を申告書に記入します。
住宅ローン控除の申告方法
住宅借入金等特別控除の概要
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に受けられる税額控除です。2025年現在、新築住宅の場合は最大13年間、年末ローン残高の0.7%(最大35万円)を所得税から控除できます。
必要書類と記入方法
住宅ローン控除を受けるには以下の書類が必要です:
- 住宅借入金等特別控除申告書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
申告書には年末のローン残高、居住開始年月日、住宅の取得対価などを正確に記入します。
控除額の計算と注意点
控除額は年末ローン残高×0.7%で計算しますが、所得税額を超える場合は住民税からも一部控除されます。ただし、住民税からの控除には上限があるため注意が必要です。
よくある間違いと対処法
記入ミスの典型例
年末調整でよくある間違いには以下があります:
- 配偶者の所得計算ミス
- 扶養親族の所得要件の誤解
- 保険料控除証明書の金額転記ミス
- マイナンバーの記入漏れ
修正が必要な場合の手続き
提出後に間違いに気づいた場合は、会社の担当者に相談して訂正申告書を提出します。年末調整の期限を過ぎた場合は、翌年の確定申告で修正することになります。
確定申告が必要になるケース
以下の場合は年末調整だけでなく確定申告が必要です:
- 医療費控除を受ける場合
- 寄附金控除(ふるさと納税など)を受ける場合
- 副業収入が20万円を超える場合
- 住宅ローン控除の初年度
年末調整は会社員にとって重要な税務手続きですが、正しい知識があれば決して難しいものではありません。必要な書類を事前に準備し、各項目を丁寧に記入することで、適切な控除を受けて税負担を軽減できます。不明な点があれば会社の担当者や税務署に相談し、期限内に正確な申告を行いましょう。2025年の制度変更点も踏まえて、しっかりと準備することが大切です。
