源泉徴収票の見方を完全解説!税務のプロが教える読み方のコツ【2025年版】
年末になると会社から渡される源泉徴収票。この小さな紙切れには、あなたの1年間の収入や税金に関する重要な情報がぎっしり詰まっています。しかし、数字がたくさん並んでいて「どこを見ればいいのかわからない」という方も多いでしょう。源泉徴収票を正しく読めるようになると、自分の税金の仕組みが理解でき、確定申告や住宅ローンの申請などでも役立ちます。
源泉徴収票とは何か?基本的な役割を理解しよう

源泉徴収票は、雇用主が従業員に対して1年間に支払った給与の総額と、そこから差し引いた所得税の金額を記載した書類です。税務署への報告書としての役割と、従業員への支払証明書としての役割を兼ね備えています。
源泉徴収票が必要になる場面
源泉徴収票は様々な場面で必要になります:
- 確定申告:副業収入がある場合や医療費控除を受ける場合
- 住宅ローンの申請:金融機関への収入証明として
- 転職時:新しい会社での年末調整に必要
- 保育園の申請:世帯収入の証明書として
2025年の源泉徴収票の変更点
2025年度の源泉徴収票では、電子化の推進により、QRコードが追加されるケースが増えています。また、定額減税の影響で、控除額の表示方法が一部変更されています。特に子育て世帯では、児童手当の所得制限撤廃に伴い、源泉徴収票の見方がより重要になっています。
源泉徴収票の構成と基本的な見方
源泉徴収票は大きく分けて4つのブロックに分かれています。左上から右下にかけて、重要な情報が順序立てて配置されています。
上段:基本情報エリア
源泉徴収票の上段には、以下の基本情報が記載されています:
- 支払を受ける者:あなたの氏名と住所
- 種別:給与か賞与かの区分
- 支払金額:1年間に支払われた総支給額(税込み)
- 給与所得控除後の金額:支払金額から給与所得控除を差し引いた金額
中段:控除関連エリア
中段には各種控除に関する情報が集約されています。ここを正しく読むことで、自分がどの控除を受けているかがわかります。所得控除の合計額、所得税額、復興特別所得税額などが記載されています。
重要な項目の詳細な読み方
源泉徴収票の中でも特に重要な項目について、具体例を交えて説明します。
支払金額の見方と注意点
実例1:田中さんの場合
田中さんの源泉徴収票の支払金額は450万円でした。これは基本給、残業代、賞与、各種手当をすべて含んだ総支給額です。健康保険料や厚生年金保険料を差し引く前の金額なので、実際の手取り額とは大きく異なります。田中さんの実際の手取り額は約360万円でした。
支払金額を見る際の注意点:
- 通勤手当は月額15万円まで非課税のため、それを超える部分のみ含まれる
- 社会保険料は差し引かれていない
- 年の途中で昇給や賞与の変更があった場合も反映されている
所得控除の合計額の内訳
実例2:佐藤さん夫婦の場合
佐藤さんは妻と子ども2人の4人家族です。源泉徴収票の所得控除の合計額は156万円でした。内訳は以下の通り:
- 基礎控除:48万円
- 配偶者控除:38万円
- 扶養控除:76万円(一般扶養38万円×2人)
- 社会保険料控除:70万円
- 生命保険料控除:12万円
このように控除額が多いほど、課税所得が減り、結果的に所得税が少なくなります。
税額の計算方法と確認ポイント
源泉徴収票に記載されている税額が正しく計算されているか確認する方法を説明します。
所得税額の計算過程
所得税は以下の手順で計算されます:
- 支払金額から給与所得控除を差し引く
- さらに所得控除の合計額を差し引いて課税所得を算出
- 課税所得に税率を掛けて所得税額を計算
- 税額控除があれば差し引く
復興特別所得税の確認方法
2037年まで続く復興特別所得税は、所得税額の2.1%です。源泉徴収票では所得税額と合算して表示される場合と、別途表示される場合があります。2025年現在も継続しているため、必ず確認しましょう。
よくある間違いと確認すべきポイント
源泉徴収票でよく見つかる間違いや、確認すべきポイントを紹介します。
扶養控除の適用ミス
実例3:山田さんの場合
山田さんは大学生の息子がアルバイトで年収130万円を稼いでいました。しかし、会社の年末調整で扶養控除38万円が適用されていました。これは間違いです。扶養控除を受けるには、扶養親族の年収が103万円以下である必要があります。山田さんは修正申告が必要になりました。
住所変更の反映漏れ
年の途中で引っ越しをした場合、住所変更が源泉徴収票に反映されていないケースがあります。住宅ローン控除を受ける場合など、正確な住所が必要な手続きでは注意が必要です。
保険料控除の計算ミス
生命保険料控除、地震保険料控除の金額が間違っているケースもあります。特に複数の保険に加入している場合、控除額の上限(生命保険料控除は最大12万円)を超えて計算されている場合があります。
源泉徴収票を活用した税金対策
源泉徴収票を正しく読めるようになったら、次は税金対策に活用しましょう。
確定申告で還付を受ける方法
以下の場合は確定申告により税金が戻ってくる可能性があります:
- 医療費控除:年間医療費が10万円を超えた場合
- 寄附金控除:ふるさと納税や慈善団体への寄付
- 雑損控除:災害や盗難による損失
- 初年度の住宅ローン控除:住宅を購入した初年度
翌年の税金を減らすための準備
源泉徴収票を見て、翌年の税金対策を考えることも重要です。所得控除を増やす方法として、iDeCoへの加入や生命保険の見直しなどがあります。特にiDeCoは年収によって控除額が大きく変わるため、源泉徴収票の支払金額を参考に最適な掛金を設定しましょう。
電子化時代の源泉徴収票の管理方法
2025年現在、多くの企業で源泉徴収票の電子交付が始まっています。電子化された源泉徴収票の管理方法と注意点を説明します。
電子交付のメリットと注意点
電子交付のメリット:
- 紛失のリスクが少ない
- データとして保存できるため管理が簡単
- 確定申告ソフトへの入力が自動化される場合がある
注意点としては、PDF形式で保存されることが多いため、印刷して保管することも重要です。また、会社のシステムにアクセスできる期間が限られている場合があるため、早めにダウンロードしましょう。
長期保管のポイント
源泉徴収票は税務上7年間の保管義務があります。電子データの場合、複数の場所にバックアップを取り、ファイル名に年度を含めて整理することをお勧めします。
源泉徴収票は単なる書類ではなく、あなたの1年間の働きと税金の記録です。正しく読み方を理解することで、自分の税金の仕組みが見えてきます。2025年も税制改正や電子化の進展により、源泉徴収票の重要性は増しています。この記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ自分の源泉徴収票をじっくりと確認してみてください。わからない点があれば税務署や税理士に相談し、適切な税務処理を心がけましょう。
